(表のP-BBS絵7参照) |
「ぬあああああ!タバコー!」
「先生…人の部屋で暴れないでください…」
先生が珍しく自発的に開始した、今回の禁煙。
一日目はすんなり、二日目はクセでくわえかけてたけどセーフ。
三日目はキャーに貰ったミントガムで耐え忍んだみたいだったけど、
四日目の今日は…このとおり。
突然おれの部屋に来たと思ったら、今はベッドで逆立ちしたり転がったりしてる。
「もうガムも飴もココアシガレットも嫌だあぁぁ」
「イプが作ったクッキー、あるよ?」
「甘い物はもう嫌だあぁぁ」
「とにかく落ち着い」
「もうダメだ!もう嫌だ!」
どうしよう、この人。
落ち着かせないと、そろそろリュウあたりが「うるさい!」って怒鳴り込んでくる頃だ。
怒鳴るんならいいけど、ヘタすると室内でシャワーオブアローだし。
ここ、おれの部屋だし。
いっそ手刀でも打ち込んで気絶させるとか?後が怖いけど…。
先生は相変わらずベッドの上、あおむけに転がってばたばたしてる。
目が合って、ふと思いついた。驚かせれば、しばらくは大人しくなるかも。
少し屈んで、先生の前髪を指先で分けて、額をあらわにした。
不思議そうな目でおれを見上げて、先生は声を出した。
「ファー?」
真っ直ぐに見つめてくる瞳に、急に顔が熱くなる。
でも、ここまで来ちゃったし。効くかもしれないし。
「これで、我慢してください」
額にそっとキスを落とした。
先生の目がきょとんとして、手が額に行って…大きな溜め息。
「普通は唇だろ、口寂しいんだから。せっかく禁断症状っぽい演技まで…」
「…は?演技?何それ、すごい聞き捨てならないんですけど…演技!?」
「口寂しいのはホントだけどな。ほら、来なさい」
反論する間もなく腕を引かれて、先生の上に倒れ込んだ。
後頭部に大きな手の感触。引き寄せられて、唇が重なる。
いつもは微かにするタバコのにおいが、今日はしない。
顔を埋めた肩からは、先生の匂い。
…ホントに禁煙できたら、ちょっとくらいご褒美をあげてもいいかも。
怒りも忘れてそんな風に思ってしまう辺りが、自分でも情けないけれど。
先生のご乱心を沈める牛と龍が見たい、というご意見を頂いたので書いてみました。
狸牛→素直に甘えられる相手(バカ穏やか)
龍狸→隠している部分を引き出される相手(バカ不穏)
といった感じに固定されてきたかも…いいのかな…(笑
「ぬあああああ!タバコー!」
「うるさい。射殺されたいか」
ビクッと体を震わせて、ラクは口を閉ざした。
それほど大量摂取してるとも思わないが、彼は禁煙を始めたらしい。
一日目は普段どおり、二日目はやや行動不審ながらもほぼ普段どおり。
三日目はガム等の菓子を摂取、今日は四日目になる。
普段以上に騒がしくなったこの男と同じ部屋に居るのには、理由がある。
ラクの禁煙が成功するか否か、ラクを除く7人で賭けることになったからだ。
賭けと言っても金銭ではなく、勝者側の探索や発掘を一度ずつ手伝うこと。
ちょうど一人では面倒な目的があったから、賭けの誘いに乗った。
その事実が、現在のこの状況と密接な関係がある。
隠れて喫煙しないか、交代でラクを見張ることになったのだ。
「だいたい、何でお前さんオレの部屋に…」
「射殺すぞ」
ぶつぶつと文句を言っているラクを放って、俺は再び魔道書に目を落とした。
騒がしい人間は好きではないし、騒音を立てられれば腹も立つが、
俺はラクが嫌いではない。
柔らかい髪も、奥底に他者への怯えを隠す瞳も、均整のとれた体も、悪くない。
間違っても安らぎを覚える相手ではないが、少なくとも飽きはしない。
常にスマートな男を演じている彼の深層の臆病さは、妙に嗜虐心を掻き立てる。
「あーあ、ファルん所にでも遊びに行くかな…ヤツなら騒いでも怒らないし」
「静かにしていろ」
「人の部屋に来といて静かにしろって、何ですかそれ。横暴だー!タバコー!」
「黙れ、喰うぞ」
再びびくりと体を揺らして、それからラクは恨みがましい目で俺を睨んだ。
「横暴だ…タバコでも吸わなきゃやってられない…タバコ…」
口では言いながらも、本気ではないのだろう。
タバコを探すでもなく、ラクはただうろうろと部屋を歩き出した。
ぶつぶつ呟く声と、意味もなく歩き回る足音。煩わしいことこの上ない。
魔道書を閉じてラクに歩み寄り、胸倉を掴んだ。
「な、何ですか…ここはオレの部屋だぞ、歩き回ったって」
「タバコよりも良いものをやろう」
反論しようとしたのか、開きかけたラクの唇に、貪るようにキスをしてやった。
一瞬遅れで抵抗を始めた体を壁に押さえつけて、思う様に口内を蹂躙する。
屈辱と軽い呼吸困難に歪む顔は、妙な艶を帯びて…堪らない表情を浮かべる。
そんなつもりで来たワケではなかったが、このままこの体を貪るのも…悪くはない。
先生のご乱心を沈める牛と龍が見たい、というご意見を頂いたので書いてみました。
狸牛→素直に甘えられる相手(バカ穏やか)
龍狸→隠している部分を引き出される相手(バカ不穏)
といった感じに固定されてきたかも…いいのかな…(笑